たしかにわたしたちは、おじいちゃんのおかげで生活できている。でも、だからって居候扱いをされるのは心外だ。
お母さんは会社の経理を手伝っているし、一昨年おばあちゃんが亡くなるまでは看病もがんばっていた。
家事も、わたしが手伝える範囲以外はすべてお母さんの役割だ。
おじいちゃんなんか自分の靴下すらどこにあるか知らないくせに、全部お母さんに任せっきりで威張っている。
それでも文句ひとつ言わずに尽くしているお母さんを、少しくらいは労うべきじゃないの!?
――ぽきんっ、とシャーペンの芯が折れた。知らず知らずのうちに筆圧が上がっていたらしい。
わたしは自分を落ち着かせるように息をはいて、折れた芯をゴミ箱に捨てた。
やめよう……よけいな感情を抱くのは。たとえ理不尽に思えても、我慢するしかないのだから。