おおかたの料理を出し終えたのは、午後8時を過ぎた頃だった。
「あとはお母さんがやっておくわ。真緒は自分の部屋でゆっくりしなさい」
「え、でも」
「大丈夫だから」
疲れた顔に笑みを浮かべるお母さん。少し気が引けるけれど、「気にしなくていいの」と何度も言われたので、先に終わらせてもらうことにした。
2階の自室でTシャツとハーフパンツに着替えた。
夕食は台所から適当に持ってきたカップラーメン。ほとんど味わうこともなく黙々と食べ終えると、教科書と筆記用具を机に広げた。
……これが、わたしの日常。
学校のみんなは知らない、わたしの生活。
一階からは、まだまだ終わりそうにない宴会の喧騒が聞こえてくる。わたしは両耳につけたイヤホンで音楽を聴きながら、明日の授業の予習に取りかかった。
勉強はたいして好きじゃない。だけど、やる。
やりたいのではなく、やらなきゃいけないと思っている。