お医者さん。先輩が、お医者さん……
どうしよう、想像出来すぎてなんか逆にすごい……!!
「どうしたの?」
「(あ……、いえっ、すごいなぁって……!だって、すごく想像つくから……!!)」
「えー…と、」
「(あ……っ、)」
伝わらない言葉に慌てて生徒手帳とペンを取り出すと、真っ白なページに【すごいです。先輩がお医者さんだなんて、似合いすぎます!!というか、先輩なら絶対素敵なお医者さんになれます……!!】と、未だかつてない速さで筆を走らせた。
街頭の明かりでそれを読んだ先輩が、再び視線を私に戻す。
「……本当に、そう思う?」
「(は、はいっ!)」
「本当に?」
「(はい……っ!)」
何度も力いっぱい頷けば、先輩はそんな私を見て何故か楽しそうに笑うと、「ありがとう」という言葉を生徒手帳と一緒に私に返してくれた。