それからしばらく、2人で並んで勉強をした。


先輩は、受験勉強。私はテスト勉強。


集中なんか出来そうにない……と思ったけれど、隣の先輩は何を気にする様子もなく机に向かっていたので、私も必死でノートに噛り付いた。




─── そうして、1時間半が経った頃。


不意にトントン、とノートを人差し指で叩かれて、弾けるように顔を上げれば、優しく目を細めた先輩と目が合って。


再びトントンと鳴らされた場所へ視線を落とせば、そこには先輩の綺麗な字で、



「(もう遅いし、家まで送るから一緒に帰ろ)」



なんて、とんでもないことが書かれていて、私は思わず自分の目を疑った。



(い、一緒に?一緒にって……え、え!?)


「(もし、もう少し勉強するなら付き合うけど、もう結構な時間だし)」


(い、いやいやいやいや……!!)


「(も、申し訳ないから、大丈夫です。いつも一人で帰っていますし、今日も一人で帰ります……!)」



送ってくれるという先輩の提案に慌ててそう返せば、なんの迷いもなく再びノートにペンを走らせた先輩。