「……一本早い電車に乗るとか、反抗期?」
「っ、」
「やっぱり、こういう時のために信頼関係を作っておくのって大事だよね。栞のお母さん、LINEでは可愛いスタンプとか使ってくれて、すごいフレンドリー」
突然背後から聞こえたその声に、弾けるように振り向いた。
そうすれば、視線の先。すっかりと秋仕様の制服姿の先輩がいて。
緩く着こなされたカーディガンの袖に半分ほど隠された手には、先輩の真っ黒な携帯電話が握られている。
先輩はその携帯電話をヒラヒラと動かしながらニヒルに笑うと、それを胸ポケットへと滑らした。