先輩に手を引かれるがまま学校を出ると、いつも通り電車に乗って、いつも通りの駅で電車を降りた。


学校を出てから駅に着くまで、樹生先輩とは一度も言葉を交わさないまま。


改札を抜けて足を止め、これから一体どこに向かうのかと考えながら先輩を見上げると、不意に視線が交わった。



「……とりあえず、ゆっくり話がしたいから、俺の家でもいい?」


「っ、」



そう言うと、酷く真剣な眼差しで私を見つめる先輩。


それに一瞬迷いながらもおずおずと頷けば、繋いでいる手に、そっと力が込められた。