「……栞、そんなに緊張しなくて大丈夫。所詮アキと、マリちゃんだから」
「そ、相馬くん、いつになく毒舌……」
「そうかな。いつも、こんな感じだけど?」
「……樹生、デート現場見られて照れてるんでしょ?」
「……、」
和気あいあいと、言葉を交わし始めた3人に、忙しく視線を動かした。
アキさんと樹生先輩は同じ学校で仲良しで、更にはアキさんの彼女のマリさんと樹生先輩はバイト先が一緒で友達なのだと言っていた。
……と、いうか。
樹生先輩の親友であるアキさんは、樹生先輩とはまた違ったタイプのイケメンさんで、世界の違いについ戸惑ってしまう。
「……栞、ちゃん?」
「(は、は、は……はいっ!!)」
一人で瞑想していたところに突然話し掛けられ、つい口をパクパクと動かしてアキさんを見つめた。
そんな私に、アキさんは優しい笑顔を向けると、コソコソ話をするように私の耳に唇を近付けた。