(わ……、凄い人……)
お祭りが開催されている場所の最寄り駅は、すでにたくさんの人で溢れていた。
それだけで、つい不安に押し潰されそうになったけれど、下を向きそうになる度に固く握られる手。
顔を上げれば私を見て優しく微笑む先輩がいて、繋がれたままの手と先輩の存在が、湧き上がる不安をすぐに払拭してくれた。
「……あ、」
と。
改札を抜けてお祭り会場のメイン通りに向かう途中で、それまで歩みを止めなかった先輩が、突然足を止めた。
(どうしたんだろう?)
不思議に思いつつ先輩を見れば、何故か驚いたような表情を携えている先輩。
その視線の先を追うと、そこには先輩同様、驚いたような表情でこちらを見ている人達がいた。