“ もう、祭りの季節か ”



ある日の図書館からの帰り道。

狭い地区で催された、小さな夏祭りが公園で行われていたのを見付けて足を止め、言葉を零した。


まるで独り言のように呟いたソレの行方を探すように、何気なく栞へと視線を移した。


すると、同じく隣で足を止めていた栞はどこか遠くを見るような目を、祭りの灯りへと向けていて。


ぼんやりと照らされた横顔が、何かを諦めたような……それでいて、どこか憧れを携えているように見えたことに疑問を覚え、俺は思わず、口が滑ってしまった。