タマの言葉に、何も反論できずに窓の外を見つめた。
夜に染まる空は、まるで自分を表しているかのようで、朝の光のような彼女にはとても不釣り合いだ……なんて、当たり前のことを考えてしまう。
「……でもさ、そういうの、もう止めたんだろ?」
「え、」
「だって、最近の樹生、女の子から電話掛かってきても全然出ないじゃん」
「それな!それな!!俺は、てっきり樹生はアッチの世界に目覚めたのかと思ってたとこ!!」
「……携帯だってさ、今まではいつもつまんなそうな顔しながら返事とか打ってたけど、最近はそうじゃないみたいだし」
「……っ、」
「それな、それな!!たまにニヤけてるときあるしぃー!!」
自分でも気付いていなかった、思わぬ指摘につい目を見張ってしまった。
そんな俺に、再び柔らかな笑顔を見せたアキは、机の上に開かれたノートの真っ白なページをトントン……と、指先で叩いてみせる。