未熟な自分が抱く、遠すぎる夢。 それでも今日までその夢が、崩れそうになる自分を何度も何度も支えてくれた。 音のない部屋。 その部屋で、幼い頃の自分はいつだって、医者としての父の背中を見ていた。 あの頃は、どんなに追い掛けても追い付く事はできなくて。 振り向いてもらいたい、自分を見てほしいと思う気持ちはいつしか、そんな父の隣に並び……いつの日か。 いつの日か、前を歩く父を追い越したいという思いに変わっていた。