「栞、夏休み、遊べる日は遊ぼうね!」


「(……うん。……でも、)」


「あー、ね。結局、あれから一度も話せないままだもんね……。まったくさぁ、アイツ……蓮司も頑なっていうかさ……」


「(……うん、)」


「でもさ、大丈夫だよ!蓮司は栞と長い付き合いだし、その内また前みたいにバカな話が出来るようになるよ!だから、ね?今年の夏は、女だけで楽しも!」



ポン、と。私の肩を叩いて笑顔を見せるアユちゃんも、どこか元気がないように見えるのは、きっと私の気のせいではないだろう。


樹生先輩の事で蓮司と衝突したあの日から今日まで、蓮司と一度もまともな会話をしていない。


あからさまに私を避ける蓮司はアユちゃんの事さえ避けているようで、同じ教室にいる私達の事を視界に入れようとすらしなかった。


そんな態度に呆れたアユちゃんが一度、「いい加減にしなよ!」と怒ると、「もう俺には話し掛けてくんな」なんて。


それだけ言って、再びそっぽを向いてしまった蓮司は昔から強情だ。


一度“こう”と決めたら貫き通す蓮司らしいといえば蓮司らしいけど、こんなにも突き放されたのは初めてで、最初は酷く戸惑った。