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「おはよう、美冬。いい天気だねえ」
クラスメイトにまじって校庭を横切るように歩いていると、後ろから梨花ちゃんが話しかけてきた。
振り向いて「うん、晴れてよかったね」と答える。
「ね。雨が降ったら楽しみ半減だもんね」
「そうだよね。晴れてるけど暑くないし、遠足日和だね」
「だね。ああ、遠足とか久しぶり。すごく楽しみ」
今日は、恒例の春の遠足の日だ。
一年生は貸し切りバスに乗って、車で一時間ほどの場所にあるキャンプ場に行くことになっている。
「美冬と同じ班になれてよかった」
梨花ちゃんがそんな嬉しいことを言ってくれる。
私はふるふると首を横に振った。
「私こそ! 梨花ちゃんと一緒ですごくほっとしてるよ」
私はまだ、嵐くんや梨花ちゃん以外のクラスメイトとは上手く話せずにいた。
だから、遠足の班決めのときには、話せる人が誰もいないグループになってしまったらどうしよう、とかなり不安だったのだ。
でも、出席番号が近いおかげで、梨花ちゃんと同じ班になれたのは、本当に運が良かった。
これで心置きなく遠足を楽しめそうだ。