「あはは、美冬、また真っ赤!」


梨花ちゃんまでからかってくるので、私は紅潮する頬を隠すように両手を当てた。


しばらくそんなやりとりをしたあと、ふいに嵐くんが、真剣な声音で「でも、たしかにさ」と言った。


「俺も、美冬と同じこと思うよ。なんていうか、この四人は、すごく居心地がいいし、しっくりくるよな」


嵐くんの言葉に梨花ちゃんも頷く。


「同感。不思議だよね、勉強会がなかったら、絶対この四人が一緒に出かけるなんてこと、ありえなかっただろうに」

「そうだな。秋田先生、グッジョブだな」

「あはは、たしかに。なんだろ、うちらが合うってなんとなく分かったのかな」

「だてに経験積んでないってやつか」

「そうかも」


楽しそうに話す梨花ちゃんと嵐くんの少し後ろを、私と雪夜くんが並んで歩く。


相変わらず雪夜くんは無言だし、無愛想だし、私のほうを見ない。


それでも、なぜだか、二人で歩くのはちっとも気まずくなどなかった。



その日の夕方、勉強会を終えて家に帰ると、私はピアノを弾きながらお母さんに報告した。


『お母さん。やっと、高校の友達ができました』


写真の中のお母さんは、嬉しそうに微笑みながら、こう言った気がした。


『よかったね。大切だと思える人を、大切にしなさい』


うん、大切にします、と私は心の中で答える。


あの三人を、大切にしたい。