「けっこう混んでるな」

「そうだね。待ち合わせ早めにしといて良かった」

「だな」


嵐くんと梨花ちゃんがそんな会話をしていて、私も頷いた。

窓際の五人掛けのテーブルがあいていたので、私たちはそこに陣取る。


「じゃ、今日からは時間いっぱいあるし、各教科一時間くらいずつやろうか」


嵐くんがそう言うと、私と梨花ちゃんが同時に首を縦に振った。

雪夜くんはいつものように何も答えないけれど、それは肯定なのだと、私たちはもう分かっている。


「担当以外の教科のときは、勝手に自分の勉強してればいいか」


嵐くんの言葉に、梨花ちゃんが「あ、でも」と声をあげた。


「私、数学苦手だから、数学のときは横で聞いてていい?」

「ああ、そうだな。じゃ、俺も国語と英語心配だから、参加しよう。雪夜、いいか?」


嵐くんに訊ねられて、雪夜くんは窓の外に目を向けたまま、「べつに」と素っ気なく答えた。


雪夜くんと嵐くんがゴールデンウィークの課題になっている問題集を解き始めた。

私も数学には不安があったので、同じページを開き、嵐くんの解説を聞きながら解いてみる。


首席入学なだけあって、嵐くんは応用問題もすらすらと解いてしまい、しかも教え方も上手だった。