嵐くんから返信かな、と思っていたら、違った。


まだ登録されていないアドレスからのメール。

そこに書かれていたのは、

『雪夜』

という二文字だけ。


思わず噴き出してしまった。

らしいなあ、と心の中で笑う。


佐絵がちらりとこちらを見たので、なんでもない、と手を振った。


連絡先を交換することになったときの雪夜くんの反応は、『俺は今はライン使ってないから交換しなくていい』。

それを聞いた嵐くんと梨花ちゃんが彼を言葉巧みに説得して、私たち三人のメールアドレスを無理やり教えて、『後で絶対にみんなにメールを送るように』と言い聞かせたのだった。


あんなに嫌そうだったのに、ちゃんとメールを送ってくるなんて、律儀だな、と感心してしまう。


『美冬です。メールありがとう。これからよろしくね』

そう返事をした。


予想通り、雪夜くんからの返信はなかった。

でも、そんな素っ気ない態度も、もう前みたいには気にならない。


雪夜くんのことが少しずつ分かってきたから。

これから、もっと、分かっていけるといいな。