そうこうしているうちに、梨花ちゃんと嵐くんの会話が終わって、声をかけられた。


「じゃあさ、駅前の図書館に十時ってことで、どう?」


うん、と私は頷く。

雪夜くんはいつものように何も答えなかったけれど、「文句言わないってことは、オーケーなんだな」と嵐くんが代弁した。


「じゃ、日にちはどうする? 毎日でもいいか?」


と嵐くんが言うと、梨花ちゃんと私が同時に首を縦に振った。

雪夜くんはまた何も言わない。


「オッケー。基本は毎日、十時に図書館の入り口前で。もし用事とかあったら俺に連絡して」

「じゃ、ラインのアドレス教えて」

「あ、そうだな。そういえば連絡先知らなかったな」


嵐くんと梨花ちゃんが話して、四人で連絡先を交換することになった。


鞄からスマホを取り出して顔をあげると、なぜかみんながこちらを見ていて、私は「え?」と首を傾げる。


「なに……? どうかした?」


すると雪夜くんはすっと目を逸らし、梨花ちゃんと嵐くんは目を丸くした。


「いや、美冬が笑ってるの、珍しいから」


ぽかんとしたように梨花ちゃんが答えたので、私は思わず両手で頬を押さえる。


「え、私、笑ってる……?」

「うん、笑ってる」


梨花ちゃんの言葉に恥ずかしさが込み上げてきて、私は俯いた。