『美冬。

本当に、本当に、大好きだよ。

心から愛してる。


あなたのことを考えるだけで、これ以上ないっていうくらい、たくさんの愛が溢れてくる。

それくらい愛してる。


お母さんのありったけの愛を、あなたにあげるね。


だからね、ひとつだけ、お願いがあります。


美冬もいつか大きくなって、とてもとても大切な人に出会う日が来ると思う。

この人だけは命に代えても守りたいって、そう思える人に出会う日がくるはず。

私がお父さんに出会って、恋に落ちて、愛したように。


その時がきたらね、お母さんが美冬にあげた愛を、今度は美冬がその人にあげて。

あなたの大切な人に、ありったけの愛を注いであげて。


それがきっと、あなたの一番の幸せになるから。


これがお母さんからのお願いです。



美冬、お誕生日おめでとう。

お母さんの娘に生まれてきてくれてありがとう。


愛してるよ、美冬。

世界でいちばん幸せになってね』



私はゆっくりと手紙を閉じた。


それから胸に抱いて、「お母さん、ありがとう」とつぶやいた。


お母さんは、こんなにも私のことを愛してくれていたんだ。

きっと今でも私たちのことを見守ってくれているんだ。


子供っぽい私は、お母さんの愛の深さを全く分かっていなかった。


「……お父さん。お母さんは、本当に素敵な人だったんだね」


泣きながら微笑んで言うと、お父さんが嬉しそうに頷いた。