お父さんの顔が苦しげに歪んだ。


私はなんて馬鹿なんだろう。

私を大切に育ててくれた、いつでも愛してくれたお父さんに、こんな顔をさせて。


私を守るために全てをひとりで抱えてくれた雪夜くんの思いを無駄にして。


それでも私は、雪夜くんのことが好きだった。

彼のことを忘れていたのに、もう一度出会って、また好きになってしまった。


きっと私はいつまで経っても雪夜くんを忘れられない。

何度でも好きになってしまう。


だから、もう自分の気持ちに嘘はつけないと思った。


「雪夜くんが好きなの……」


お父さんを苦しめると分かっていて、分かっていたのに、私は泣きながら繰り返した。


「好きになっちゃったの……ごめんなさい」


お父さんは小さく息をもらして、へたりこむように腰を落とした。

その腕をとってすがりつく。


「ごめんね、お父さん……許して……。お父さんに嫌な思いをさせるってわかってるけど、私、雪夜くんと一緒にいたい」


傷つけると分かっているのに、こんなふうに自分の気持ちを誰かにぶつけるのは初めてだった。

私はいつも、相手を傷つけるのが、相手に嫌われるのが怖くて、自分の思いを口に出すことができなかった。

何も言えないまま、胸の奥に気持ちをしまいこんでいた。


でも、雪夜くんへの想いだけは、何度しまいこんでも、どうしても溢れ出してきてしまう。

押しとどめることはできなかった。


自分でも見て見ぬふりをしてきた想いだけれど、もうこれ以上は隠しておけない。


「雪夜くんが好き。雪夜くんのそばにいたい」