映画館を出るとき、先に歩き出した彼に「雪夜くん」と声をかけた。
振り返らないままに「なに」と答えが返ってくる。
「さっきはありがとう」
斜め後ろからそう言うと、彼は「なんのこと?」と素っ気なく答えて、そのまま歩く速度を上げた。
「ごめん、俺もう帰らないと」
と嵐くんに声をかけているのが聞こえる。
私は結局、何も言えないまま、その後ろ姿を見送った。
決して私を振り返らない背中に、雪夜くん、と心の中で呼びかける。
どうしてそんなに優しいの?
どうしてそんなに優しくしてくれるのに、私を拒むの?
私は、こんなに、君が……。
今まで意識して避けてきた思いが、一気に溢れだした。
――こんなに君のことが好きなのに。
振り返らないままに「なに」と答えが返ってくる。
「さっきはありがとう」
斜め後ろからそう言うと、彼は「なんのこと?」と素っ気なく答えて、そのまま歩く速度を上げた。
「ごめん、俺もう帰らないと」
と嵐くんに声をかけているのが聞こえる。
私は結局、何も言えないまま、その後ろ姿を見送った。
決して私を振り返らない背中に、雪夜くん、と心の中で呼びかける。
どうしてそんなに優しいの?
どうしてそんなに優しくしてくれるのに、私を拒むの?
私は、こんなに、君が……。
今まで意識して避けてきた思いが、一気に溢れだした。
――こんなに君のことが好きなのに。