「私といると、雪夜くんはお父さんとお母さんのことを思い出して、苦しくなるの。だから、私は雪夜くんと一緒にいられない……もうこれ以上、苦しんでほしくないから……」
そうか、と嵐くんは小さく呟いて俯いた。
「やっぱりあいつはそんなふうに思ってるんだな……」
ふうっと彼が溜め息を吐き出す。
重苦しい沈黙が流れた。
その間に列が進んで、私たちはレジで注文をして、四つの紙コップを受け取る。
シアターに戻る途中で、嵐くんが唐突に「それでも」と口を開いた。
「俺はやっぱり思うんだよ」
何を言うつもりなんだろう、と私は嵐くんを見上げた。
彼は少し困ったような表情で、でも迷いのない声音で言った。
「雪夜を救えるのは美冬しかいないって」
私は唇を噛む。
嵐くんはさらに続けた。
「このままだとあいつはたぶん、これからもずっと罪悪感に苛まれながら生きていくことになるだろうから、俺はそんなの見てられない。でも俺には何もできない」
カップを持つ手が震えた。
「だけどさ、美冬になら、何とかできるんじゃないかって、勝手に期待してるんだ。……なあ、美冬。こんなこと頼まれても困るだろうけど……あいつを助けてやってほしい」
頷くことも、否定することもできなくて、私は黙って歩き出した。
そうか、と嵐くんは小さく呟いて俯いた。
「やっぱりあいつはそんなふうに思ってるんだな……」
ふうっと彼が溜め息を吐き出す。
重苦しい沈黙が流れた。
その間に列が進んで、私たちはレジで注文をして、四つの紙コップを受け取る。
シアターに戻る途中で、嵐くんが唐突に「それでも」と口を開いた。
「俺はやっぱり思うんだよ」
何を言うつもりなんだろう、と私は嵐くんを見上げた。
彼は少し困ったような表情で、でも迷いのない声音で言った。
「雪夜を救えるのは美冬しかいないって」
私は唇を噛む。
嵐くんはさらに続けた。
「このままだとあいつはたぶん、これからもずっと罪悪感に苛まれながら生きていくことになるだろうから、俺はそんなの見てられない。でも俺には何もできない」
カップを持つ手が震えた。
「だけどさ、美冬になら、何とかできるんじゃないかって、勝手に期待してるんだ。……なあ、美冬。こんなこと頼まれても困るだろうけど……あいつを助けてやってほしい」
頷くことも、否定することもできなくて、私は黙って歩き出した。