「……ちなみに、梨花も似たようなところがあって。あいつもさ、海外育ちで最初は周りの女子から浮いてて、軽くいじめられたりしたらしいんだよ」

「え……?」


あの梨花ちゃんがいじめられていたなんて、なんだか考えられない。


「なんでもはっきり言い過ぎて、生意気とか口が悪いとか、色々言われたらしいよ」

「……そうだったんだ」


自分の思いを口に出すのが苦手な私からしたら、思ったことを言える人は憧れの存在なのに。

誰にでもその人なりの悩みがあるのだ。


「まあ、そういう共通点があったから、俺と梨花は波長が合うのかな。あ、ごめん、のろけみたいになって」


嵐くんが慌てたように言ったので、私は笑って首を振った。


「そんなの気にしないよ。むしろ嵐くんと梨花ちゃんが仲良くしてるのは嬉しいもん」


クラスでひとり浮いた存在だった私に声をかけてくれて、友達になってくれた二人には、本当に感謝していた。

それに、雪夜くんと近づけたのも、二人のおかげだと思っている。


「……俺もさ、同じ気持ちだよ」


嵐くんの言葉の意味が分からなくて、私は彼の顔を見上げた。


「新しい環境に疲れてたとき、俺を支えてくれたのは雪夜だったからさ。だから俺は雪夜には本当に感謝してるし、幸せになってほしいって思ってるんだよ」

「……うん」

「美冬と幸せになってほしいって、ずっと思ってた」


どう応えればいいか分からなくて、私は視線を落とした。


「でも……雪夜くんは、私とは……」


ぽつりと答えると、嵐くんが「あいつはさ」と私の言葉を遮った。