私たちは普通のクラスメイトになった。


一昨年の冬、雪夜くんと出会って、少しずつ近づいていって、毎日のように共に過ごして、去年の冬、別れた。

その奇跡のような一年間を全て『忘れたふり』をして、今の私は、雪夜くんの友達の一人としてふるまっている。


雪夜くんは今まで通り、素っ気ない態度をとっている。

私のことなんてもともと興味がない、という顔で。


それでもやっぱりどこかにぎこちなさがあるのか、梨花ちゃんは、


「ねえ、美冬と雪夜って、何かあったの?」


と首を傾げている。

私は「何もないよ」と即答した。


「そうかなあ。なんか妙にぎくしゃくしてるっていうか、違和感があるんだけど」

「そんなことないって。梨花ちゃんの考えすぎだよ」

「そう? でもさあ、美冬と雪夜って、夏の間にかなり距離が縮まって仲良くなった感じがしてたのに、文化祭が終わったあたりから、なんかまた元通りになっちゃった気がするんだよね」


梨花ちゃんはあっけらかんとしているようで本当はすごく周りの様子を気にしている。

だから私たちの演技にも気づいてしまったのだろう。


「……確かに少しだけ近づいたかなって思ったときもあったけど、それだけ。たまたまだよ。私たちはただの友達」


私はあいまいに笑いながら答えた。