体育館に入ると、雪夜くんたちの前のバンドが演奏している最中だった。

文化祭のライブだけれど、ドラムや大きな機材がいくつも並ぶステージに、さまざまな色のライトがくるくる回りながら当たっていて、思ったよりも本格的な雰囲気だった。


「あんまり後ろだと見えないから、前のほうで見たいよね」

「うん。でも、空いてるかなあ」


嵐くんが真ん中よりも少し前あたりの列に空席を見つけてくれて、私たちは三人並んで座った。


そのあたりにくると、スピーカーから流れてくる音が大きくて、会話もままならない。

私は黙ってそのバンドの演奏を聴いていた。


私は楽器はピアノしか弾けないから、他の楽器のことはよく分からない。

でも、三年生の先輩たちのそのバンドは、音がよく合っていて上手いし、楽しそうに弾いているのが格好いいなあ、と感激した。


ステージの下には三年生の人たちがたくさん集まって、手を振ったり、声を上げて一緒に歌ったりと、すごく盛り上がっていた。


この後に出番を迎える雪夜くんたちのバンドは、高橋くんの怪我で急遽代役を立てたわけだし、合わせて練習をする時間もなかなかなかっただろうから、どうなってしまうんだろう、と勝手に心配になってくる。


三年生バンドの演奏が終わった。

歓声と拍手に客席が包まれる。


彼らが手を振りながらステージを去ったあと、楽器や機材のケース、ドラムスティックなどを持った雪夜くんたちのバンドがステージに出てきた。