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学校中に人が溢れていた。
華やかなお化粧やコスプレをして看板をもった客引きの生徒、自分の子供を探し出して楽しそうに笑いながら写真を撮ったりしている保護者の人たち。
清崎高校を見学しに来たらしい中学生もちらほらと見かける。
私のクラスの展示は、思ったよりもたくさんの人が見に来てくれて、特に保護者や近所の人からの評判がよかった。
生徒たちも、「行ってみたくなる」と興味を引かれている様子だった。
展示の説明役を担当する時間は教室にいて、それ以外の時間は他のクラスの展示や、体育館でのクラス劇、吹奏楽部の演奏などを見に行く。
ばたばたしているうちに、いつの間にかお昼を過ぎていた。
慌ただしく昼食を済ませたあとに、二回目の説明役をするために梨花ちゃんと教室に戻った。
担当の時間が終わったのは、一時半を過ぎたころ。
「もうすぐ雪夜たちの出番だね」
梨花ちゃんが楽しそうに言った。
うん、と生返事をすると、彼女は私の腕をがしりとつかんだ。
「さあ、行くよ!」
えっ、と目を丸くしているうちに、梨花ちゃんは私の手を引いてずんずんと体育館へ向かっていく。
「やっぱり、私は……雪夜くんが来ないでって言ってたし……」
「どうせ本心じゃないんだから、気にしない、気にしない」
「でも……」
「それにさ、遠くから見てたらばれないって!」