迷っているうちに、準備が終わり、開会式の時間になった。
体育館に移動している途中で、横の渡り廊下から雪夜くんが姿を現した。
声をかけようか、どうしようか、と考えていると、隣で梨花ちゃんが「あっ、雪夜!」と声をあげる。
雪夜くんがこちらに顔を向けて、「おう」と小さく言った。
背中には黒いギターケースを背負っている。
梨花ちゃんも気がついたようで、顔を近づけて覗きこんだ。
「それ、ギター?」
「ああ」
「すごーい、本当に弾くんだ! 楽しみ」
「………」
雪夜くんは複雑そうな顔をして、それから私を見た。
「……前も言ったけど、見に来るなよ」
そんなに言うなら仕方がない。
内心でため息をつきながら、うん、と答えようとしたとき、梨花ちゃんが私の肩を抱き寄せて雪夜に笑みを向けた。
「まあた、そんな照れちゃって。とにかく、がんばりなよ! 応援してるから」
雪夜くんはまだ何か言いたそうにしていたけれど、後ろからやってきた山内くんに話しかけられたので、そのまま彼らと一緒に歩き始めた。
「やっぱりさ、雪夜は本気で見に来て欲しくないって思ってる感じじゃないよ。あいつ何でも顔に出るのに、今は嫌そうな顔とかしてなかったもん」
梨花ちゃんがにっと笑って言った。
体育館に移動している途中で、横の渡り廊下から雪夜くんが姿を現した。
声をかけようか、どうしようか、と考えていると、隣で梨花ちゃんが「あっ、雪夜!」と声をあげる。
雪夜くんがこちらに顔を向けて、「おう」と小さく言った。
背中には黒いギターケースを背負っている。
梨花ちゃんも気がついたようで、顔を近づけて覗きこんだ。
「それ、ギター?」
「ああ」
「すごーい、本当に弾くんだ! 楽しみ」
「………」
雪夜くんは複雑そうな顔をして、それから私を見た。
「……前も言ったけど、見に来るなよ」
そんなに言うなら仕方がない。
内心でため息をつきながら、うん、と答えようとしたとき、梨花ちゃんが私の肩を抱き寄せて雪夜に笑みを向けた。
「まあた、そんな照れちゃって。とにかく、がんばりなよ! 応援してるから」
雪夜くんはまだ何か言いたそうにしていたけれど、後ろからやってきた山内くんに話しかけられたので、そのまま彼らと一緒に歩き始めた。
「やっぱりさ、雪夜は本気で見に来て欲しくないって思ってる感じじゃないよ。あいつ何でも顔に出るのに、今は嫌そうな顔とかしてなかったもん」
梨花ちゃんがにっと笑って言った。