文化祭の当日がやってきた。

いつもよりも一時間以上早く登校したのは、クラス展示の飾りつけがまだ終わっていなかったので、朝早くから集合して最終の仕上げをすることになっていたからだ。


始めは清崎町の七不思議を集めて、模造紙にまとめを書いて展示をする予定だったけれど、

それだけではインパクトが足りないという意見が出たので、急遽、七不思議にまつわるものを置いたり絵や図で説明したりしようということになったのだ。


教室に入ると、すでに半分以上の人が集まっていて、みんな行事になると早いなあ、と少し笑えてくる。


「おはよ、美冬」


梨花ちゃんが教室の隅から私に手を振ってきた。


「おはよう。早いね」


ほとんど机や椅子は別の教室に運び出してあって、みんなは床に座り込んで準備をしている。

その間を縫うようにして梨花ちゃんのもとへたどり着いた。


「さて、仕上げちゃおうか」

「うん、がんばろう」


私たちは、自分たちで調べた七不思議の飾りつけを担当している。

段ボールで教会の小さな模型を作り、紙粘土に色をつけて十字架も置く。


昨日の段階で十字架はできていたけれど、水彩絵の具の色がうまくのらなかったので、もう一度塗り直すことになっていた。

なるべく大きいほうが印象的だから、と嵐くんが言ったので一メートル以上のサイズで作ったから、色を塗るだけでも一苦労だ。