確かに最近は、前に比べてすごく距離が近づいてきている気がするし、海での出来事のときは、雪夜くんは私を助けるために必死に行動してくれた。

すごく嬉しくて、『もしかして雪夜くんは私のことを特別に思ってくれてるのかな』なんて思ったりもした。


でも、雪夜くんの性格を考えたら、きっとそれが私じゃなくても同じことをしていただろう。

それに気がついたとき、私は自分の思い上がりと自意識の過剰さが恥ずかしくなってしまった。


だからもう、そのことは考えないようにしている。


「……ん? ちょっと待って」


突然、梨花ちゃんが目を丸くして私の顔を覗きこんできた。


「美冬、今、なんて言った?」

「えっ? 何って……」

「雪夜は何とも思ってない、みたいなこと言ってなかった?」

「え? うん、言ったけど……」

「雪夜は、って言ったよね!」


彼女が何を言おうとしているのか分からず、首を傾げる。

すると梨花ちゃんが満面に笑みの花を咲かせた。


「それってさ、つまり、『雪夜は』なんとも思ってないかもしれないけど、『美冬は』何かしら思ってる、ってことだよね?」


一瞬、何を言われたのかよく理解ができなくて、ぽかんとしてしまった。

それからじわじわと意味が腑に落ちてきて、全て理解してから、ぼっと顔に火がつくのを感じた。


「……えっ? いや、ち、ちが……っ」


訂正しようとするのに、言葉が上手く出てこない。