「雪夜って、ギター弾けるんだね……知らなかった」


梨花ちゃんが唖然とした顔で呟いたので、私も「うん、びっくりしたね」と同意する。


「美冬も知らなかったの?」

「うん、全然」

「へえ、美冬にも言ってなかったんだ。意外。美冬と雪夜、最近けっこう会話してるのに」

「そんなことないよ。それに雪夜くんって、誰に対しても、自分の話とかあんまりしないでしょ」

「それもそうか」


少し笑ってから、梨花ちゃんは急に真顔になった。


「……ていうか、さ。美冬と雪夜って、どうなってるの?」

「え、どうって?」

「だってほら、夏休みに海に行ったとき、二人いい感じだったじゃん! あれから進展は?」


梨花ちゃんがわくわくしたように訊ねてきたので、私は「何もないよ」と苦笑した。


「そうなの? あれから何回か四人で会ったのに」

「でも、何にもないよ」

「ええー、雪夜ったらなにちんたらしてんだか」

「うーん……雪夜くんはそもそも何とも思ってないんじゃないかな」


そうかなあ、と梨花ちゃんはどこか不満げな表情を浮かべているけれど、やっぱり雪夜くんには私とどうこうなりたいなんていう気持ちはない気がする。