それにしても、ますます意味が分からない。

なんでうちにこんなものがあるの?

ギターなんて誰も弾かないのに。


首を傾げながら、謎の『ピック』を持ってベッドの上に寝転がる。


ティアドロップ形――涙の雫のかたち。


何気なく蛍光灯の明かりに透かしてみると、波のような模様が薄く入っていて、真珠のような、白い貝殻の内側のような、不思議な光沢があった。

光を透かして淡い色にきらきら輝く、涙の雫。


「……綺麗」


うっとりと呟く。


よく覚えていないけれど、きっと私は、道かどこかに落ちていたこれを見つけて、美しさに惹かれて拾ってきたのだろう。

それで、お気に入りのものたちと一緒に宝箱にしまったのだ。

きっとそうだ。


そう考えてみると、覚えのなかったものたちは全て、いかにも私の好きそうなものだった。


淡くて優しいパステルカラーの折り紙。

可愛らしい鍵盤のペンケース。

透き通った透明の石と、銀色の華奢なチェーンがついたネックレス。

絆創膏と、謎のアルファベットが書かれた紙は……よく分からないけれど。


一つ一つ確かめながら箱の中に戻していって、でも、涙の雫の形だけはなんとなく手もとに残した。


とても綺麗だから、お守りにしよう。

ふいに思い立って、私はピックを財布の中にそっと潜ませた。