そこまで考えて、急に恥ずかしくなった。


雪夜くんのことをもっと知りたい、なんて。

もしかして、私、雪夜くんのこと……。


分からない。

私は、恋愛の意味で人を好きになったことがなかった。

だから、雪夜くんに対するこの思いが何なのか、自分でもよく分からないのだ。


でも、はっきりとひとつ分かることは、雪夜くんは他の人とは違う、ということだ。

私にとっては。

私は他の誰に対しても、雪夜くんに対するのと同じような気持ちになったことはない。


冷たくされると悲しくて、話しかけられると嬉しくて、微笑みを向けられるとどきどきする。


雪夜くんは、私にとっては、特別な存在。

それだけは確かだった。


自分の考えに落ち着かなくなる。

気分を静めたくて、なんとなく、昔の日記を見てみようかな、とふいに思い立った。


今使っているのは、五冊目の日記帳。

これまでのものは、クローゼットの中の、鍵がかかる箱にしまってある。

お父さんや佐絵に見られたくないから。


椅子から腰を上げて、クローゼットの扉を開いた。

箱の鍵は、あまり着なくなったコートのポケットの中に隠してある。


鍵を開けて、箱の蓋を上げる。

小学生の頃の私が、『宝箱』という恥ずかしい名前をつけたものだ。