気まずいし恥ずかしいので、さりげなくずらそうかとも思ったけれど、雪夜くんは繋いだままの形で歩き続けた。
だから私もそのまま、繋がれたままで雪夜くんの背中を追う。
そのとき、ふと、不思議な感覚におちいった。
切ないような、懐かしいような、奇妙な感覚。
前にもこうして、誰かに手を引かれて、その人の背中を見つめながら、歩いたことがあった気がする。
とても恥ずかしくて、でも嬉しい気持ちで。
そして、その相手は――誰だっただろう?
ぼんやりと考えながら、私はただ雪夜くんについて歩いていた。
その手の温かさを感じながら。
岩場を抜け出しても、雪夜くんは手を離さなかった。
むしろ、始めは手を添えている程度だったのに、今はしっかりと繋いでいる。
そのことをくすぐったく、でも嬉しく思っていると、ふいに雪夜くんがぱっと手を離した。
それから振り向いた顔は、ばつが悪そうに唇を噛んでいる。
「……ごめん」
なんで謝るんだろう、と私は首を傾げる。
雪夜くんは何も悪いことなんかしていないのに。
私が転びそうになったから助けてくれたのに。
でも雪夜くんは、何か大きな失敗をしてしまったような顔をしていた。
砂浜の真ん中に二人で立ちすくむ。
さっきまで繋ぎ合っていた手が離れたせいで、私の右手はひどく空虚な感じがした。
だから私もそのまま、繋がれたままで雪夜くんの背中を追う。
そのとき、ふと、不思議な感覚におちいった。
切ないような、懐かしいような、奇妙な感覚。
前にもこうして、誰かに手を引かれて、その人の背中を見つめながら、歩いたことがあった気がする。
とても恥ずかしくて、でも嬉しい気持ちで。
そして、その相手は――誰だっただろう?
ぼんやりと考えながら、私はただ雪夜くんについて歩いていた。
その手の温かさを感じながら。
岩場を抜け出しても、雪夜くんは手を離さなかった。
むしろ、始めは手を添えている程度だったのに、今はしっかりと繋いでいる。
そのことをくすぐったく、でも嬉しく思っていると、ふいに雪夜くんがぱっと手を離した。
それから振り向いた顔は、ばつが悪そうに唇を噛んでいる。
「……ごめん」
なんで謝るんだろう、と私は首を傾げる。
雪夜くんは何も悪いことなんかしていないのに。
私が転びそうになったから助けてくれたのに。
でも雪夜くんは、何か大きな失敗をしてしまったような顔をしていた。
砂浜の真ん中に二人で立ちすくむ。
さっきまで繋ぎ合っていた手が離れたせいで、私の右手はひどく空虚な感じがした。