慌てて足に力を入れて、逃げ出そうとするけれど、完全に動きを封じられてしまっている。

無理に腕を引っ張ると、びりっと裂けるような音がして、はおっていたカーディガンの袖が肩から破れてしまった。


「はははっ! 破れたぞ、なんかエロい!」


男の一人が楽しそうに笑って、あとの二人もにやにやと裸の肩を見下ろしてくる。

ぞくりと鳥肌が立った。


どうしよう、気持ち悪い、怖い。

頭が混乱して、何も考えられなくなる。


逃げたいのに、腕も肩もつかまれて、動けない。

逃げられない。


引きずられるようにして歩かされているうちに、気がついたら、人影もない砂浜の外れの岩場まで連れて来られていた。


遠くのほうで、海水浴客たちの楽しそうな歓声が響いている。

でも、ここは誰もいないし、背の高い岩が目隠しになって、きっと誰からも見えない。


頭が真っ白になった。

その間に三人に囲まれる。

逃げ道を塞がれたのだと分かった。


「さあ、どうする? もう逃げられないぞ」

「助けてー! って叫んでみたら?」

「どうせ誰も来てくれないけどなー」

「かわいそー」


怯える私を見て、彼らは楽しそうにげらげらと笑った。


こんなひどい人間がいるなんて、思ってもみなかった。

きっと、話せば分かってくれると思っていたのに。


現実を甘く見ていた楽観的な自分に嫌気が差した。