私が怯んでしまったすきに、男たちは女の子を連れて歩き出した。

私は慌てて「やめてください」と追いすがる。


「……嫌がって、怖がってる女の子と遊んで、何が楽しいんですか」


口をついて出た言葉に、男たちの顔が怒りで歪むのが分かった。


「……おいコラ、てめえ、調子に乗んのもいい加減にしろよ?」

「女だと思って大目に見てやってたのに、ふざけんな」


彼らは女の子たちの手を離し、私に向き直った。

私は彼女たちの手をとらえて、ぐっと引いて自分の後ろへ逃れさせる。


「なになに、この子たちの代わりに、君が付き合ってくれるわけ?」


長髪の男が私の両肩を掴んだ。

力が強くて爪が食い込む。


「痛い……。やめてください」

「ん? 聞こえないなあ。で、俺らと一緒に行くって?」

「お兄さんたちと楽しいことしようぜ、ってか!」

「嫌です……」


もう一度、声に力を込めて「嫌です」と繰り返すと、「ふざけんな」と凄まれた。


「調子乗ってんじゃねえぞ? 大した顔でもねえのにお高くとまりやがって」


悪意に満ちた言葉に、どくっと胸が嫌な音を立てた。


そんなこと、言われなくたって分かってる。

でも、なんでこんな言い方をされなくちゃいけないんだろう。


唇を噛んで俯く。

そうしているうちに彼らは私の両手をつかみ、肩を抱きこんで歩き出した。