「……ああ?」


男の一人が、聞いたこともないくらい低い声でうなり、顎をぐっと上げた。

おそろしい目つきで睨まれていることに気がついて、一瞬にして背筋が凍る。


怖い。こんなに怖い思いをしたのは、生まれて初めてだ、きっと。

でも、ここで黙るわけにはいかない。


「やめてあげてください」


他に言葉が思いつかなくて、同じ言葉を繰り返した。

男たちの顔つきがみるみるうちに険しく歪んでいく。

こんなに怖くて醜い顔があるんだ、と私は息をのんだ。


「……なんだ? お前。さっきのビビりっぷりはどうした?」

「なんか文句あんのか? こら」


舌を巻くような口調で言われて、全身に震えがくる。

ごくりと唾をのみこんで、なんとか視線を逸らさないように自分を励ます。


すると、にやにや笑いを浮かべた長髪の男が前に出てきた。


「この子たちはねえ、俺らと楽しみたいんだって。なあ?」

「………」


同意を求められた女の子たちは、怯えて何も言えないようだった。


「ほおら、ね。だからさあ、君なんかの出る幕じゃないんだよ。ん? わかった?」


長髪の男は口調こそ柔らかかったけれど、笑顔なのに目が全く笑っていなくて、一番怖ろしかった。