連れていかれちゃう。

助けなきゃ。


そう思ったけれど、足が動かない。

震えるくらい怖かった。


それに、誰も助けようとしていない。

こんな空気の中で、私が一人で止めに入ったところで、どうなる?


でも、怯えきっている女の子の姿が、佐絵と重なった。

もし佐絵が同じ目に遭ったら……。


それに、彼だったらきっと……雪夜くんだったらきっと、あの子たちを助ける。

なぜか、そんな考えが頭に浮かんだ。


雪夜くんなら、絶対に止める。

彼は普段は無口だけれど、言わなきゃいけないことは必ず言うから。

周りの雰囲気なんかに左右されず、自分の意見も、言うべきことも、迷わず口に出すから。


そう考えた瞬間、金縛りが解けたように身体が動き出した。


男三人に囲まれた女の子二人の背中を追いかける。

無我夢中で手を伸ばして、一人の女の子の手首をつかんだ。


ぐいっと引っ張ると、彼女は驚いたように目を丸くして振り向いた。

つられたように、他の四人もこちらを見る。


心臓が口から出てきそうだった。

吐き気がする気がした。


でも、なんとか言葉を絞り出す。


「……やめて、あげてください。この子たち、嫌がってます……」


震えていたけれど、思ったよりも大きな声が出て、安心した。