波の動きに合わせて白く光る、青い青い海が目の前に広がっている。
その上には、海より少し淡い青の空が、海よりもっともっと遥かに広がっている。
色とりどりの水着を着て楽しげに笑う人々をたくさんのせた砂浜も、陽の光を反射して輝いていた。
夏の海。
思わず心が踊るような、とても綺麗な風景だ。
ちらりと隣に視線を落とす。
誰もがわくわくしてしまうこの景色を前に、血の気を失った顔をして目を閉じている雪夜くん。
薄い瞼が、透き通りそうなほどに青白かった。
いつも彼が見せる無関心や無表情とは違うというのは明らかだった。
どうしてだろう、とまた疑問が湧いてくる。
そんなことを考えていたので、
「……ごめんな」
と呟く声が聞こえてきたとき、私はすぐには反応できなかった。
答えられずにいると、雪夜くんは薄っすらと瞼を開いて、深い黒の瞳で私を捉えた。
それから、かすかに口を開く。
「付き合わせてごめん」
「……え?」
「せっかくここまで来たんだから、お前も海に入りたいだろ。もう平気だから、俺のことは気にしないで、あいつらのところに行けばいい」
雪夜くんの言葉が終わらないうちに、私はふるふると首を横に振った。
「ううん、行かなくていい。行きたくない」
雪夜くんがぴくりと眉を上げる。
私はもう一度、念を押すように繰り返した。
「私、別に海に入るのが好きなわけじゃないの。海を見たかっただけ」
その上には、海より少し淡い青の空が、海よりもっともっと遥かに広がっている。
色とりどりの水着を着て楽しげに笑う人々をたくさんのせた砂浜も、陽の光を反射して輝いていた。
夏の海。
思わず心が踊るような、とても綺麗な風景だ。
ちらりと隣に視線を落とす。
誰もがわくわくしてしまうこの景色を前に、血の気を失った顔をして目を閉じている雪夜くん。
薄い瞼が、透き通りそうなほどに青白かった。
いつも彼が見せる無関心や無表情とは違うというのは明らかだった。
どうしてだろう、とまた疑問が湧いてくる。
そんなことを考えていたので、
「……ごめんな」
と呟く声が聞こえてきたとき、私はすぐには反応できなかった。
答えられずにいると、雪夜くんは薄っすらと瞼を開いて、深い黒の瞳で私を捉えた。
それから、かすかに口を開く。
「付き合わせてごめん」
「……え?」
「せっかくここまで来たんだから、お前も海に入りたいだろ。もう平気だから、俺のことは気にしないで、あいつらのところに行けばいい」
雪夜くんの言葉が終わらないうちに、私はふるふると首を横に振った。
「ううん、行かなくていい。行きたくない」
雪夜くんがぴくりと眉を上げる。
私はもう一度、念を押すように繰り返した。
「私、別に海に入るのが好きなわけじゃないの。海を見たかっただけ」