日曜日。

待ち合わせ場所に行くと、すでに梨花ちゃんと嵐くんがいた。


「おはよう。早いね、二人とも」


そう声をかけると、梨花ちゃんがにやにやしながら嵐くんを見た。


「嵐ったらね、楽しみすぎて早く起きすぎたんだって」

「そういう梨花だって同じじゃないのかよ」

「私は十分前集合がポリシーなだけですー」

「うそつけ」

「ね、それよりさ、電車の乗り換えって……」

「あ、調子が悪くなると話変えるんだからなー、お前って」

「ねえ美冬、乗り換えの駅分かる?」

「おいこら無視すんな、ばか」

「いたっ、もう、叩かないでよね、ばか」


楽しそうに言い合いをしている二人を微笑ましく見ているうちに、五分が過ぎ、さらに十分が過ぎ、いつの間にか待ち合わせ時間を越えていた。


「……雪夜くん、遅いね」


腕時計に目を落として小さく呟くと、二人がはた、と顔を見合わせた。


「たしかに……もう時間過ぎてるのにな」

「ほんとだ。珍しいよね、雪夜って待ち合わせに遅れたことないのに」

「意外にな」

「意外にね」

「どうしたんだろうな、何かあったかな……」


嵐くんが心配そうな顔になり、スマホを取り出して電話をかけるような素振りをする。

そのとき、向こうから歩いてくる人影に気がついた。


「あ、雪夜くん」


私が声をあげると、二人もそちらへ視線を投げた。