どういうこと? と訊き返そうと思ったけれど、雪夜くんは『これでこの話は終わり』と言うように視線を逸らした。
その先には、手をつないで歩いていく親子の姿。
それを、雪夜くんはじっと目で追っている。
「――雪夜くんて、子ども、好きなの?」
気がついたら、そんな疑問を口にしていた。
雪夜くんがちらりと目を向けてくる。
「さっき、あの男の子に、すごく優しくしてたから。子ども好きなのかなって」
「べつに……慣れてるだけ」
「小さい弟か妹がいるってこと?」
「いや、違うけど……まあ、そんなようなもんかな」
どういうことだろう、と思ったけれど、なんとなくそれ以上は訊けなかった。
そうしているうちに、梨花ちゃんと嵐くんが駆け寄ってきたので、話はそこまでになった。
「ひとつ不思議っぽい話、聞けたよ」
梨花ちゃんが興奮したように言う。
「どんな話?」と訊ね返すと、
「願いを叶えてくれる十字架の話!」と返ってきた。
嵐くんによると、『清崎町の端のほうにある高台の上に建つ教会に、とても大きな銀の十字架があって、そこで願いをかけると必ず叶う』という噂らしかった。
「……嘘っぽいな」
ぼそりと言ったのは雪夜くんだった。
「うさんくさいから、その話はやめよう」
険しい顔をして、そんなことを言う。
今まで彼は不思議探しについて、『めんどくさい』と言うことはあっても、自分の意見を口に出したことなどなかったので、少しびっくりした。
「他の話を探しに行こう」
さらにそう続けて歩き出したものだから、いきなり積極的になった雪夜くんに意表を突かれたのは私だけではなかった。
その先には、手をつないで歩いていく親子の姿。
それを、雪夜くんはじっと目で追っている。
「――雪夜くんて、子ども、好きなの?」
気がついたら、そんな疑問を口にしていた。
雪夜くんがちらりと目を向けてくる。
「さっき、あの男の子に、すごく優しくしてたから。子ども好きなのかなって」
「べつに……慣れてるだけ」
「小さい弟か妹がいるってこと?」
「いや、違うけど……まあ、そんなようなもんかな」
どういうことだろう、と思ったけれど、なんとなくそれ以上は訊けなかった。
そうしているうちに、梨花ちゃんと嵐くんが駆け寄ってきたので、話はそこまでになった。
「ひとつ不思議っぽい話、聞けたよ」
梨花ちゃんが興奮したように言う。
「どんな話?」と訊ね返すと、
「願いを叶えてくれる十字架の話!」と返ってきた。
嵐くんによると、『清崎町の端のほうにある高台の上に建つ教会に、とても大きな銀の十字架があって、そこで願いをかけると必ず叶う』という噂らしかった。
「……嘘っぽいな」
ぼそりと言ったのは雪夜くんだった。
「うさんくさいから、その話はやめよう」
険しい顔をして、そんなことを言う。
今まで彼は不思議探しについて、『めんどくさい』と言うことはあっても、自分の意見を口に出したことなどなかったので、少しびっくりした。
「他の話を探しに行こう」
さらにそう続けて歩き出したものだから、いきなり積極的になった雪夜くんに意表を突かれたのは私だけではなかった。