雪夜くんの言葉は、怒ったり叱ったりするような感情的な声音ではなくて、ただ静かに言い聞かせるようなものだった。

だからか、男の子も次第に落ち着いて、泣き声は小さくなり、小さくしゃくりあげるようなものに変わった。


「……ごめんなさい」


ぽつりと呟いて、赤く潤んだ大きな目で私を見上げてくる。

それが可愛らしくて、佐絵の小さいころを思い出して懐かしくなり、私は思わずふふっと声を上げて笑い、「大丈夫だよ、気にしないで」と返した。


男の子がううっとうめいて、さらに泣きそうになる。


こういうときは、自分が失敗してしまったと分かっていると、何を言われても泣いてしまうものだ。

厳しくされても、優しくされても。


大丈夫、大丈夫、と微笑みかけてみても、やっぱり男の子は泣き出してしまって、それがとても可愛らしかった。


すると隣から、ふっと小さい吐息が聞こえて、私はそちらに目を向けた。

驚いて息を呑む。

雪夜くんが、優しげに目を細めて微笑んで、男の子を見つめていた。


唖然とする私に気づく様子もなく、雪夜くんはすっと手を伸ばして、男の子の頭をくしゃくしゃと撫でた。


「よく言えたな、偉いぞ」


雪夜くんの声は、聞いたことがないくらいに温かくて優しくて、その瞬間に男の子は激しく泣きじゃくり始めた。