たしかに、雪夜くんがにこやかな顔をしているのなんて、想像もできない。

彼が私に笑いかけることなんてあるのだろうか。


でも、なにも、笑ってくれなくたっていい。

だって最近は、初めの頃にくらべると、ずいぶん私への態度が柔らかくなった。

それだけでも私にとってはすごく嬉しいことなのだ。


「それにしてもさあ、七不思議なんてあるのかな」


梨花ちゃんが紙パックのいちごミルクを飲みながら、首を傾げて嵐くんに言った。


「私そんなの聞いたことないんだけど」

「まあ、探せば何かあるだろ」

「そうかなあ?」

「とりあえずさ、地元の人に聞き込みとか、あとはネットとかで調べよう」

「そうだね。ちょっと不思議な話とか聞いたことありませんか? みたいな感じで」

「じゃ、期末テストまでに、放課後ぼちぼち聞き込みとかするか」

「いいね、楽しそう!」


梨花ちゃんと嵐くんで話が盛り上がり、今後の動きが決まった。