「なんだよ梨花、やけに嬉しそうだな」

「当たり前でしょ! せっかくの文化祭なんだから、いい展示にしたいもん。ね! 雪夜。がんばろうね!」

「は? ……めんどくさい」

「なによ、やる気ないなあ!」


三人のやりとりを聞きながら、私は笑みが頬に滲むのを感じる。

梨花ちゃんに負けず劣らず、私も嬉しいのだ。

この四人でまた何かできるというのが、とても嬉しかった。

私の今までの人生で、家族は別にして、いちばん居心地がいい人たちだから。


「がんばろうね、雪夜くん」


思わずそう口に出して笑いかけると、雪夜くんは意表を突かれたように頬杖をはずし、目を丸くした。

そういえば私からはっきりと話しかけるのは初めてだったな、と気がついて、恥ずかしくなる。


「……ごめん」


うつむいて謝ると、「……なんで謝るんだよ」とぶっきらぼうな声が返ってきた。


ちらりと顔をあげると、雪夜くんはどこか困ったように眉をわずかに下げていた。


「なになにー? 二人とも変な空気醸し出しちゃって。これからグループで行動するんだから、仲良くしてよね? 雪夜」


梨花ちゃんが言うと、雪夜くんは肩をすくめ、

「なんで俺に言うんだよ」

と嫌そうに顔をしかめた。


「悪いのは雪夜だからに決まってるでしょ! せっかく美冬が頑張って話しかけたんだから、にこやかに返しなさいよね」

「それは無理だろ」


即座に嵐くんが突っ込みを入れたので、私は小さく噴き出してしまった。