おおーっと声が上がり、何人かは拍手をしている。


「自分たちの足で清崎町を探し歩いて、七不思議を見つける。そしてそれをまとめてクラスで展示発表する。そんな感じでどうかな」


嵐くんが確認するように言うと、みんなが同意するように両手で音を鳴らした。


清崎高校は地域密着型の進学校で、地元出身の生徒も多いし、近所の人たちもここの高校の動向はいつも気にしている。

だからこそ、地域と交流する行事が多いし、文化祭には地元の人たちが大勢訪れるのだ。

清崎町のことを扱えば地元のおじさんやおばさんたちはみんな喜んでくれるだろう。


でも、生徒からすれば、たとえば町の特産物や観光スポットを調べたりするのは、正直なところ、あまり面白くはない。

そこを嵐くんがうまくバランスをとって、七不思議という私たちが興味を持てるような話題と地域をからめてくれたのだ。


「嵐、すごいね」


斜め前の梨花ちゃんが振り向いて、こそこそと私に言った。

私も大きく頷く。

梨花ちゃんは嬉しそうに笑って前に向き直り、嵐くんに向かってぱちぱちと手を叩いた。


それと入れ替わるように、今度は前の席の葛西くんが振り返ってくる。


「なんか面白くなりそうだな。七不思議ってどんなのがあるんだろう」


私は頷いて、「そうだね」と答える。

葛西くんがにっこりと笑って前を向いた。