先生のにやりとした笑みに、みんなが活気を取り戻した。


「えっ、なになに、先生もしかして何かおごってくれるの?」

「ジュース? アイス?」

「おれ焼肉がいいなー!」

「お前、先生に気つかえよ! 子供生まれたばっかりなんだから、金ないんだよ」

「あ、そっか」


教室が笑いに包まれたところで、嵐くんが再び話し合いを再開させる。


「じゃあ、先生の意見を踏まえた上で、誰かいいアイディアない?」


何人かが案を出したものの、みんなの反応はいまいちで、決定打に欠けるという感じだった。


「じゃあ、ひとつ俺の意見言っていい?」


と嵐くんがぐるりとクラスを見回す。


「俺的には、せっかくだから本気で一位狙いに行きたいんだよな。だから、審査員になる先生たち受けのよさそうな企画にしようと思うんだけど、どう?」


みんなが頷く。

これ以上、良いアイディアは出そうになかったし、嵐くんは人望があるから、彼が言うなら、とみんなが思っているのが伝わってきた。


「うちの高校の校訓の一つが、『地域との共生』だろ? だからそのへんを活かすと印象いいんじゃないかな。あと、それにみんなの案をからめて……」


嵐くんが黒板に書き出されたたくさんのアイディアを目で追い、それから『七不思議』という文字を指で差した。


「清崎町の七不思議、とかどう?」