「おはよ、霧原さん」
突然うしろから声をかけられて、私は驚いて頬杖をはずした。
隣の席を見ていた視線を、声のしたほうに向ける。
そこには、満面の笑みを浮かべた染川さんが立っていた。
はっきりとした目鼻立ちの、とても可愛い女の子だ。
「ねえねえ、今日って古典あるよね。予習とかあったっけ?」
染川さんは、私の右斜め前の席に座っている。
そのせいか、時々こうやって声をかけてくれるのだ。
「うん……たしか、十三ページの最後まで。本文うつすのと、単語調べてきなさいって先生が」
少しどきどきしながら答える。
染川さんが「まじで?」とげんなりした声をあげた。
「最悪、あたし完全に忘れてた。ねえ霧原さん、お願いがあるんだけど」
顔の前で両手を合わせて、今度は必死な顔を向けてくる。
ころころ変わる表情は、快活で屈託のない染川さんの性格をあらわしているようで、とても感じがいいな、と思う。
「ノート見せてくれたりしない? 本文はいいけど、単語のほうはさすがに辞書ひくの間に合わないし。今日、なんか当たっちゃう予感がするんだよね」
「うん、いいよ、もちろん」
ふつうの友達みたいな会話をしてくれて、嬉しくなる。
いいなあ、染川さんみたいな性格。あこがれる。
突然うしろから声をかけられて、私は驚いて頬杖をはずした。
隣の席を見ていた視線を、声のしたほうに向ける。
そこには、満面の笑みを浮かべた染川さんが立っていた。
はっきりとした目鼻立ちの、とても可愛い女の子だ。
「ねえねえ、今日って古典あるよね。予習とかあったっけ?」
染川さんは、私の右斜め前の席に座っている。
そのせいか、時々こうやって声をかけてくれるのだ。
「うん……たしか、十三ページの最後まで。本文うつすのと、単語調べてきなさいって先生が」
少しどきどきしながら答える。
染川さんが「まじで?」とげんなりした声をあげた。
「最悪、あたし完全に忘れてた。ねえ霧原さん、お願いがあるんだけど」
顔の前で両手を合わせて、今度は必死な顔を向けてくる。
ころころ変わる表情は、快活で屈託のない染川さんの性格をあらわしているようで、とても感じがいいな、と思う。
「ノート見せてくれたりしない? 本文はいいけど、単語のほうはさすがに辞書ひくの間に合わないし。今日、なんか当たっちゃう予感がするんだよね」
「うん、いいよ、もちろん」
ふつうの友達みたいな会話をしてくれて、嬉しくなる。
いいなあ、染川さんみたいな性格。あこがれる。