しかし、と清光は思う。


そのような型破りな容姿をしているというのに、なぜだろう。


(―――目を奪われる。心惹かれてしまう)



とんでもない姫君だとは思うのだが、ひどく魅力的に見えるのだ。



一見ぼさぼさの頭は、よく見るとみごとな漆黒で、額のあたりにかかる髪はつやつやと輝いている。


白粉をつけていない肌は、それでも透けるように白く滑らかで、上気した頬がほんのりと赤いのが愛らしい。


抜かれていない眉も黒くあざやかで、柳の葉のように美しい形をしており、たいそう涼しげだ。


お歯黒をしていないため色気のない口許だが、にっこりと笑ったときに、赤い唇の隙間からこぼれた白い歯は、不思議とはしたなくは見えず、むしろ目を奪われた。



なにより、清光の掌におさまってしまいそうなほど小さい顔は、見たこともないほどに整った顔立ちをしている。


こぼれおちそうなほど大きな瞳、小ぶりながら形のよい鼻、ふっくらと愛らしい唇。



地味な色の着物に、男物のような白袴、そしてこおろぎ柄の上着という珍妙でみすぼらしい身なりをしているというのに、

まったく卑しくなどは見えず、むしろ気品があって華々しい。



(この姫はきっと、化粧をしたら、驚くほど美しくなるだろうなあ)



清光は飽きもせずに姫君を見つめ続けていた。