ーーーいやだ。



死にたくない。




生まれて初めて、そう強烈に思った。




死にたくない。


死にたくない。




誰か助けて。





誰か。








「…………だれか………」









助けて…………






たすけて……………














「ーーー百合!!」







あたしの名を呼ぶ声。





その声は、ばちばちと爆ぜる炎の轟音を突き破って、まっすぐにあたしのもとに届いた。







朦朧とする意識の中、あたしはゆっくりと目を開けた。




視界には、燃え盛る炎だけ。





でも、声の主は、すぐに分かった。






「…………あ」






声が掠れて、うまく喋れない。





でも、言わなきゃ。




言わなきゃ。








「………き、ら……あきら………」








もう一度、息を吸い込んで。









「…………あきらーっ!!」








空が煙と炎で、黒く、赤く染まっている。




その空に向かって、あたしは叫んだ。








「あきら………彰! 助けて!!」