また、機銃掃射の飛行機がまっすぐに近づいてきた。




道にいたら丸見えだ。



狙われる。




みるみる近づいてくる機影を見つめながら、あたしは近くの建物に飛び込んで、扉の隙間から外の様子を窺った。




飛行機が機関銃を乱射しながら、真上を飛び過ぎていく。




エンジンの轟音と、ひっきりなしに続く銃撃の音で、耳が一瞬聞こえなくなった。





そのとき、音のない視界に、向かいの家からお爺さんが飛び出してきた。




あたしは「危ない!」と叫んだ。



でも、エンジン音のせいでお爺さんには届かなかった。





お爺さんは庭の防空壕に逃げ込もうとしているようだ。




でも、そこに………たくさんの銃弾が落ちてきた。





………あたしは、見ていることしかできなかった。




まっすぐに落ちてきた銃弾が、お爺さんの太腿とお腹を撃ち抜くさまを。




お爺さんの身体から飛び出した銃弾が、血と肉片をまとわりつかせたまま、べちゃりと地面に貼りつくさまを。




ぐらりと倒れかけたお爺さんの近くに、今度は爆弾が落ちて、お爺さんの身体が爆風に吹き飛ばされて、家の壁に打ちつけられるさまを。