「俺は、子どもの頃から軍人に憧れていたんだ。

大きくなったら絶対に帝国軍人になって、この国のために命を賭けて戦うと決めていたんだなぁ。

それが日本男児の大和魂ってやつさ」





茶化すような軽い口調で、石丸さんが言った。




その隣で、「僕も同じです」と板倉さんも微笑んでいた。




最後に彰が口を開く。





「上官がね、こう言ったんだ。



今、戦況は逼迫している。

日本を救えるのは、若者たちの気高い魂による体当たり攻撃しかない。

天皇陛下の御ために、大日本帝国のために、国民のために、家族や友人や恋人のために、自ら特攻に名乗りを上げてくれる者は誰か、と。



それを聞いて、俺は心から感銘を受けた。

俺たちはこの身体で、この魂で、この国を守ることが出来るんだ、と。

だから俺は、すぐに手を挙げたよ」






あたしは彰の目をじっと見つめた。




汚れも曇りもない、澄みきった真っ直ぐな瞳。






………このひとたちは、何を言っているんだろう?




まったく理解できない。




どうしてこんな考え方ができるの?