そんなあたしの思いは顔に出てしまったらしく、彰たちが怪訝そうな表情で「どうした?」と訊ねてきた。




もともと、思ったことは全部口に出したくなってしまう性分のあたしは、言ってしまった。






「………みんな、なんで特攻隊なんかに入ったの?」






彼らは一様に目を丸くする。



その後すぐに、最年少の板倉さんは、なぜだか傷ついたような表情で俯いた。




沈黙が流れる。



周りのテーブルで騒いでいる隊員たちの声がひときわ大きく聞こえた。





しばらくして、最年長の寺岡さんがゆっくりと口を開いた。





「俺はね」





呟くように言って、軍服の胸ポケットに手を差し入れた。




みんなの前に寺岡さんが差し出したのは、一枚の写真だった。




ぼろぼろに色褪せた、白黒の写真。




写っているのは、まだ十代くらいに見える若い女の人と、その人に抱かれている小さな小さな赤ちゃん。





「これは、俺の妻と子だよ」





寺岡さんはちらりとあたしを見て、写真に視線を落とし、優しく微笑んだ。